迷い家

UOを始めたばかりの頃、ずいぶんお世話になった先輩たちの家。
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共に姿を見なくなり、消息を聞かなくなり。
そして唯一残ってた家が、今日の昼、腐り落ちた。

先輩がここに初めて家を建て、そのお祝いにもらったと大切にしていた鉢植え。
先輩の銘が刻まれたアイテム達。
仲間達が集まってふざけあい、朝まで語り明かした思い出の場所。


どれかひとつでも残さないといけない気がして、それを行動に移した。
プロといわれる腐り待ちの達人らを相手に、自分がこの4年間培ってきた知識と経験を全てぶつけて臨んだ。
固唾を飲んで待つこと7時間。
家が腐り落ちた瞬間、周囲に隠れていたプロ達がアイテムを漁る為、また新たな土台を設置する為に一斉に動く。こんなに居たのか。思わず気が遠くなる。
だが、何度も何度も頭の中でシミュレートした通りに、手が動いた。
アイテムに手を伸ばしていたライバル達を跳ね飛ばし、新たな土台を設置。片っ端から手につく物を土台に引き上げる。鉢植えは・・鉢植えはもう見あたらない。誰かに取られてしまったか・・。
あらかためぼしいものが片付くと、プロ達は無言で次々と去っていった。
無我夢中で建てた土台と、そこに引き上げたアイテムを前に放心していると、最後に残ったプロが、他の名前の似た同業者と自分を人違いしたらしく、話しかけてきた。誤解を解き、この家が恩人の思い出のある家だったこと、それで無我夢中だったこと、曰く付きの鉢植えを逃したことなどを話す。
なんという偶然、鉢植えを拾ったのはこの人だった。自分が既に持っていた同じ物と交換してくれないか、頼んでみた。ハタから見れば、バカみたいに無意味なことだ。
だが、「わかりますよ、そういうの」。その人は快くそれを交換してくれた。


結局、狙った物は全て確保することが出来た。
全身を覆う充足感と、・・寂寥感。手放しで喜べない現実。
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これきり、あなた達とUOで会う可能性は絶たれたと言ってもいいのだろうけど。
この家にあなた達が帰ってくることを、待っていたのは自分だけじゃなかったよ。あなた達の名前や面影が残されたアイテムを、一緒に懐かしんでくれる人たちがまだいるよ。


そんな気持ちを共有できる存在がなくなったとき、自分もUOを去ることになるのかな・・。


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